日枝神社 流鏑馬祭

茨城県新治郡新治村にある日枝神社(山王大権現)の流鏑馬祭は毎年四月第一日曜日に行われる。日枝神社の流鏑馬祭は大猿退治の伝説に基づくことが特色である。村に伝わる伝説によれば、日枝神社の境内の大木(幸加の木=ネムノキ)に一匹の大猿が棲みついていた。その猿が里に出て農作物を荒らし農民を困らせていた。猿は山王大権現のお使いとされているので、農民は供物を捧げて静めようとしたが一向におさまらず、ついに稚児を選び人身御供に差し出すことになった。これを伝え聞いた領主小神野従羅天(おかの・じゅうらてん)は、弓の名人市川将監に依頼、力を合わせて大猿を退治した。この伝説を儀式化したのが流鏑馬神事であり、流鏑馬祭には稚児、従羅天、将監の三人の主役が馬に乗って登場する。従羅天と将監の役はそれぞれその子孫が演じ、将監役は「幸加」の木で作られた的を、大猿に見立てて馬上から射る。この流鏑馬は茨城県無形民俗文化財に指定されている。

解説:岩城英夫
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